2008年7月31日木曜日

ミスティック・ミュージアム

ミスティック・ミュージアム (HJ文庫 ふ 4-1-1)
藤春 都
ホビージャパン
売り上げランキング: 18519
おすすめ度の平均: 4.0
4 主人公補正あり?


ヴィクトリア時代のロンドンの大英博物館舞台の話。ミステリ風味の味付け。
メインのキャラクターはきちんと性格付けして描けていると思う。絵も良。
当時のロンドンの空気はしっかり出ているものの、それが全体の雰囲気に寄与できているかというとやや心許ない。ヒロインの幽霊もストーリー上、そこまでしっくり来る絡み方はしていない(さすがにラストの解決法は無理矢理という印象がある)。
また、倒叙……とまではいわないものの、犯人を先出ししてしまうのに、それが展開上きっちり生きてこないのが不満。主人公の仕掛けたトリックは良いのだけれども、それ以外の部分がミステリとしては粗末に感じた。犯人を明かしてしまった以上、もう少し追い詰める展開に工夫があっても良いのではないかと思う。

2008年7月29日火曜日

生徒会の一存

生徒会の一存 (富士見ファンタジア文庫 166-7 碧陽学園生徒会議事録 1)
葵 せきな
富士見書房
売り上げランキング: 1176
おすすめ度の平均: 4.0
5 いやはや、面白いな…
5 フツーに面白!
5 駄弁って笑うだけではない
3 ハーレムです。
5 これは続いて欲しい作品


正直ヌルい。びっくりするほどヌルい。
のだが、これが売れると言うことは、これはこれでOKということなのだろう。
自分は信じないが。
このギャグで笑えと言うのは正直無理。

4コマ的なだらだらした感じを狙ったのだろうし、それはラノベの新たな方向性として全然アリだと思うのだけれども、そこに何の技巧も感じられないのが我慢ならない。

2008年7月25日金曜日

吉祥GOOD☆LOOKS

吉祥GOOD☆LOOKS (ガガガ文庫 に 1-1)
若王子 ラムネ
小学館
売り上げランキング: 184224


マネージャーが占いで野球部を勝利に導く。
「わたるがぴゅん!」でもあったよなこんな話。

冒頭は割と特徴的で主人公にもきちんと感情移入できたかと思うが、話が進むにつれてストーリーが加速し、話の筋だけをなぞっている印象を受けた。
ディテールが描かれないと、キャラクターがどうしても記号化してしまう。
この尺で治めるには登場キャラクターが多すぎ、ひとつひとつのエピソードが薄くなるのは仕方ない。

また、占いに対し「個人の努力」がないがしろにされているような印象も受ける。
そこにひとつ葛藤があるだけで、もっと占いに対する考え方に深みが出たような気がした。

2008年7月10日木曜日

パラレルまりなーず

パラレルまりなーず (GA文庫 き 1-1)
木野 鋼一
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 174804


平行世界からたくさんのヒロインがやってくるのだが、「別世界の幼なじみ」というだけで誰もが主人公に惚れているというすごい設定。しかもヒロイン達は、「別世界での幼なじみ」でありながら、名前も性格も全く違う。
「別世界の幼なじみ」であることに、主人公を惚れさせる以外に何の意味も見いだせない。これだけ何の障害もなくいろいろなキャラクターに主人公が好意を抱かれるという構造は、感動すら覚える。

ストーリーも、平行世界から助けを呼ぶことにほとんどなんのトレードオフもないから、全く緊張感がない。それはそれで悪いことではないのだけれども、あまりにインスタントなドタバタの山に目眩を覚えた。