2008年2月17日日曜日

花とアリス

花とアリス 特別版
花とアリス 特別版
posted with amazlet on 08.02.17
アミューズソフトエンタテインメント (2004/10/08)
売り上げランキング: 2666
おすすめ度の平均: 4.5
5 夕焼けをみるのと同じような気持ちになる
4 すばらしい!私のようなオジサンでもきっとハマれますよ!
5 蒼井優に星ひとつオマケ

徹底して蒼井優のための映画であり、たぶん蒼井優を意図したとおりに描けているんだろうなと感じた。
脚本に感服。ひとつの嘘が日常を変えていく導入から、ふたりの視点が交差し合いながら語られる物語。時に離れ、時に交錯しながら、伏線を十全に張り、ミスリードも誘いながら、それぞれのクライマックスに向けて描かれる話の筋。男役に内面がないのは、こういう世界観であるからむしろ妥当か。
舞台を外した広末涼子に「パンチラ?」と訊かせてしまうのが、自分は冷静だという意思表示であるのなら、あれってむしろ逆効果じゃない? と思う。

ストップ☆まりかちゃん!


ストップ☆まりかちゃん! (電撃文庫 す 10-1)



菅沼 誠也
メディアワークス (2008/01/10)
売り上げランキング: 83027




一話完結の科学に踏み込んだバイオギャグ。まりかがおかしな発明してトラブル、という形式。パクマンのいないゲノム。
第一話の気持ち悪さは、ただ単に軟体動物の気持ち悪さではないのではないか。あれは科学によって人の姿を得てしまった創造物に対する気持ち悪さであり、そういう意味では正しくこの小説はSFなのだと思う。第二話の亀も同様で、トラブルと悲劇の中でさりげなく自我の問題に引っかかることで、この小説は単なるドタバタギャグではなくSF的な命題を含む小説になり得るし、そうあるべきだ。
日常の中に想像のつかないような科学理論が持ち込まれることで、今まで当然だと思っていた世界が揺らぐ――それこそが、一見ドタバタギャグに見えるこの小説が本当に描くべきものだと感じた。

後半、そういう読み方ができなかったのが残念。
純粋なドタバタギャグならば、キャラクターの力が足りず、主人公のツッコミ力もいまいち。なんにせよパクマンがいないのだ。

2008年2月11日月曜日

JSA

JSA
JSA
posted with amazlet on 08.02.11
東芝デジタルフロンティア (2006/06/23)
売り上げランキング: 2205
おすすめ度の平均: 4.5
4 ビョンホンファンでない方でもOK
4 最近の日本映画にはない骨太なエンターテインメント
5 秀作!テンポよく最後まで飽きないです。


ソン・ガンホとパク・チャヌク。ゴールデンコンビ。パク・チャヌクの映画のねちっこさを生かすのは、ソン・ガンホの圧倒的な存在感ではないかと思える。そのくらいこの映画でも圧倒的。美味しすぎてうさんくさいのが玉に瑕か。
自在に物語る脚本の妙に酔う。回想形式の語り口はオーソドックスながらもギリギリと胃を締め付けるような緊張感を与え、正直途中で映画を止めたくなった。そしてカタルシス。しかしそこで罪の所在をぼかし、嫌悪感を最後まではぐらかすその手管。そしてどんでん返しが単なるどんでん返しではなく、そこから「ライター返品の決別」に遡って友情と罪、ひいては南北統一の困難まで暗示してしまうという、とんでもない脚本に感じた。上手い。
難点は物語の導き手の女性が上手くストーリーに絡まないことか。四人の男のドラマに対して、彼女の物語は余りにも深みがないように感じた。が、それは南北朝鮮問題のバックボーンがほとんど無い自分だから持つ感想なのかもしれない。彼女が何らかのメタファーでなければ、あれだけ浮いたキャラクターを置く意味がちょっとわからない。

2008年2月10日日曜日

征服娘。

征服娘。 (集英社スーパーダッシュ文庫 (か12-1))
神楽坂 淳
集英社 (2008/01/25)
売り上げランキング: 2291


文化で征服という明言をしてしまって、武力衝突があって、しかも経済的問題も陶然関わってくるだろうし、この風呂敷の広げっぷりは大丈夫か。無論根っこにあるのは自己実現なのかも知れないけど、でもそれだけで済む話じゃあない印象。
物怖じせずよくこのモチーフを取り上げたなあ、と最初は思ったが、しかしヴェネツィアという固有名詞を使わなかったのが吉と出るか凶と出るか。正直この内容であれば背景に実在の時代的バックボーンをおいた方が面白いように思える。それをせずにファンタジー世界で話を進めるのは中高生向けにはプラスに働くのか。ただ名前を変えただけ、というのであれば個人的に残念。
自分の拙い世界史知識では喜望峰発見されてたら地中海は衰退するわけで。どうするのか。フォークを持ち込み毒殺か。それはフィレンツェだ。
やや作品内での固有名詞が多すぎる感があり、バックボーンが読めない中高生はこれでわかんのか? という気はする。
とりあえず主人公を好意的に描くことに成功していて良い。父親から科せられるだろう挫折が楽しみ(父親に死亡フラグが立っているので、絶対に超えられない死者という力石ポジションになるのか)。

緋色のルシフェラーゼ 1

緋色のルシフェラーゼ 1 (1) (富士見ファンタジア文庫 183-1)
伊藤 イツキ
富士見書房 (2007/11)
売り上げランキング: 69512
おすすめ度の平均: 4.0
4 どっちが本筋かわかり難い…


前世悪魔で女キャラがバトル。競って争うのは男。
悪魔の使い方は良し。実は現実世界が……というどんでん返しや、一話ごとの分量内での話のまとめ方など、基本的な読ませ方は悪くない。ただ、現実世界舞台にこの調子だと、インフレ感を煽ったり舞台を変えたりするのに苦労しそうな感触。
あんまりなエロ含みの男女関係が、性を逆転させることでマイルドになっていて感心するが、しかしそれではあんまり男の子心にヒットしないのでは。前世云々であることも含めて、女性向けを意識しているんだろうか?