2008年10月1日水曜日

パコと魔法の絵本

冒頭から目眩のするような画の連続。息もつかせぬテンポでガシガシ進むストーリー。
徹底的に主張される大貫の偏屈は、バックグラウンドに老人の悲哀を織り交ぜながら、まあものすごい説得力で迫ってくる。
大声であらゆる声音で間髪入れずに主張するもんだから、こんな偏屈じじいのン十年続けられてきた生き方が、たかが二時間にも満たない間にどうやって説得力もってひっくり返されるのか心配になる。というか最初は無理だと思った。

でも奇跡は起こる。それまでありったけの映像効果と脚本と演出と演技とを使ってなされたじじいの偏屈さが、老人の手のひらと少女の頬がふれあっただけで、ただそれだけでひっくり返される。納得してしまう。
これが奇跡でなくてなんだろう? これが映画でなくてなんだろう?

それ以降は看護婦の廊下を駆け足で行くシークエンスが心に刺さるくらいだったけれども、ラストもなんだかしっくりこないけれども、エンターテインメントとしてはもう十分で、口をぽかーんと開けてスクリーンを観ているしかなかった。
なんだよあの演劇パートの贅沢な造りは。すげえ。

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