メディアファクトリー (2007/10)
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だるまさまを倒した主人公。今度の敵は謎の筋肉男。ギャルゲ友達や恋のライバルが現れてさあ大変。
一巻の構成に拍手。予言者の祖母が居る以上、「予言された未来」との戦いが構造上入っていくのだろう、と思っていたが、「恋愛」を軸にして運命が組み込まれるとは予想外。この小説では物語上悲劇が要請されていながらも、全体的には主人公の成長物語としての構成を取っている。しかもその原動力が「好きな人に本当に好きになってもらう」という、非常に巧みな着地点。しかもこのキャラクターの愛着。物語に生まれるダイナミズムが半端ない。話のスケールといい問題提起の仕方といい、感心せずにはいられない。
とはいうものの、ストーリー運びにおいて少々難点があるのも事実か。種明かしがゲストの独白であるのはスタイルとしても、例えば自動販売機の告白は物語構造の核心に触れる一幕なのだから、もう少し工夫すべきではないか。