2007年12月12日水曜日

クダンの話をしましょうか


未来を予言する少女・件。だが彼女はそれと引き替えに、予言された対象との縁を失い、記憶を失わせてしまうのだった。
彼女が人間よりも上位の視点を持つものと定義されており、一話ごとにゲストの悩みを何らかの形で解決していく形式を取る。ただし件は「忘れられなければならない」という悲劇を宿命づけられている。

通常ならば「超越者」として外部の視点にあるべき件が、幕間でキャラクターとしての愛着を得る部分に驚く。(「キノの旅」のキノはあくまで超越者=旅人であり、そこからキャラクターとしての愛着/悲劇は注意深く排除されている)愛着のあるキャラクターであり、なおかつ超越者であることの難しさ。本作品は悲劇を背負ってしまったヒロインに対して「キリン」という上位の(あるいは、補完する)存在を配置することによって、件の超越者としての立場と愛着あるキャラクターである悲劇を両立させていると感じた。非常に参考になる。
この巻のモチーフはペルソナとネット人格。進学クラスと普通クラスの差異を「格差社会」と表現したときは思わず吹き出しかけたが、思春期の視点から見ればまったく大げさな表現ではない。掲示板に宿るリアリティ。第2話で追い求められる「本当の私」は、未だ社会との関係性まで視野に入っているようには感じられなかったが、しかしライトノベルとしてはそれが正しいのではないか、というのが実感。
良作。

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