スペインのひとりの男の半生を綴った物語。
「アラトリステ」というのが主人公の名前だが、それにふさわしい内容で、様々なエピソードが時代と共に嵐のように流れていく映画の中で、ひとつの幹としてしっかり機能している。素晴らしい。なんにせよ主人公がカッコイイ。痺れる。
大航海時代斜陽のスペインが舞台であるため、もちろん作品も話が進むにつれてもの悲しい雰囲気に染まっていくのだが、しかし充分に娯楽としての強度を保ち続けているのは、ひとえにこの主人公のおかげだろう。
ラストの「語り継げ」はやや陳腐か。といっても世代の継承の話が根底にあり、次代にも希望が見いだせない流れなのだから、そういった締め方しか方法はなかったのかもしれない。
梅毒からラストへの流れは多少無理があるか。一度終わらせるべき物語を引き延ばしたために、ちょっと蛇足が生じてしまったような印象。
所々絵画的な映像があって面白くはあったが、わざとらしくて余り好きではない。
2009年1月4日日曜日
アラトリステ
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