2009年1月30日金曜日

黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇

黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇 (岩波文庫)

ポーの作品は以前に「黒猫」「モルグ街の殺人」などが入った短編集を読んだと思うのだが、これで有名な短編はおよそ目を通せたか。
ゴシック小説として名高い「アッシャー家の崩壊」は、雰囲気を楽しめはしたものの、表現などになれないこともあって、堪能しきったとは言い難い。前半の作品は全体的にそんな構成で、急転直下のラストは後を引く妙な味があるものの、素っ気なく思えてしまうのも事実。
しかし後半の作品は、解説にあるとおりエンターテインメントを志向しているものが多く、十分に楽しめた。

江戸川乱歩は小さい頃に少し読んだ記憶しかないのだが、しかし振り子が揺れて迫ってくるシーンがあったことなど、今頃記憶の端に思い出したりする。
「火星年代記」でも引かれていたし、横溝正史的な見立ても「黄金虫」が祖型であろうし、知らず知らずのうちに浴びていた影響を今更のように思い知らされた。

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