女性声優が書いた小説なのだが、これはまさしくゲームを主戦場にしている女性声優が書いた小説って感じがして非常に面白いと思うのだけれどもあんまり同意してくれる人がいなそうだ。ドンマイ。
ストーリーの展開はもの足りず、いかにも過ぎる伏線(鏡)や強引な偶然性(入院先の病院)、動機の不整合(なぜ今まではダメだったのに演劇でへこたれなかったのか)など、まあ女性声優がお話を書いてみましたって感じの物足りなさが多い。
だがこの小説の真骨頂はキャラクターのマイナス思考に陥る心理描写の巧みさと、それに対するエクスキューズのなさである。劇団の先輩からいじめを受けただけでマイナス思考スパイラルで暴れ回る少女を主人公に置くのがまずすげえんだけど、それに対してなんらフォローがない。これはいわゆる「何の特徴もない型の主人公」の話で、こんな心理描写したらなにか「彼女がこうならざるを得なかった」理由とかを読者に納得させて、それでも彼女に感情移入できるような仕組みを作ると思うんだけど、その構造が全くないのである。
オレはそれを読んで「うわ作者すげえ」と思った。ってのはどういうことかというと、作者が読者に対して、「社会不適合者」であるヒロインに普通に感情移入するって考えているところだと思う。ホントかウソかは知らないけれど、この小説の向こう側に、そこら辺に配慮がないまま平然としている作者の姿を読み取ってしまったのだ! (いや、実際どうだかは知らないけれど)
2009年2月15日日曜日
なにいろアスタリスク!
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