2009年5月22日金曜日

果てしなき渇き

果てしなき渇き (宝島社文庫)

どこかで感触の似た物語をみたことがあるとずっと感じていたが、ラストシーンを読んでようやく思い出す。「オールド・ボーイ」だ。
何より構成が美しい。徐々に歯車が狂っていく様子が、時系列を平行させて語られていく。過去の物語は現在によって狂うことがすでに示されており、また現在の物語は過去によって狂わされていく。先行する過去の物語のカタルシスによって、現在のさらに大きなカタルシスが招かれる。そしてその中心にある真実が明らかになるラスト。溜息。
ただ、現在の主人公に比べて、過去の主人公に魅力が欠けていたようにも感じられ。もう少し印象深い人物なら、その対になる現在の主人公の印象もさらにはっきりとしたのでは。

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