2009年5月31日日曜日

RPG W(・∀・)RLD1 ―ろーぷれ・わーるど―

RPG W(・∀・)RLD1  ―ろーぷれ・わーるど― (富士見ファンタジア文庫)

指輪物語って源流に触れておいて、この立ち位置の危うさはどうも信頼できないなあ。
キャラクターをゲーマーとして見せるのなら、単なるネタとしての消費ではなく、その奥にあるRPGの神髄みたいなところに迫って欲しかった。

現実とRPGの架空世界を対比させてストーリーを創るとき、その一番根本にある差異は「努力が認められるか否か」に求められると思う。努力すれば努力した分だけ、その世界の脅威が除かれていくというのは、報われない現実世界に対する強烈なカウンターだ。「最初から最強」という語り口で、成長の楽しみが奪われてるのは大幅な魅力減に感じた。

成長でステップアップで神話的な大魔王を倒す、という価値観が通用してねえのかなあ。でもファンタジーRPGってそういうもんであって欲しいよなあ。

ストーリーのことをいえば、「死」が明らかに軽視されすぎている。実際に誰か味方が死ぬわけでもなく、形式上の「死」を担保にして「胸を張って生きるために本気出す!」とか言われても全く説得力がない。カタルシスもない。
主役が二人いるのは、お互いを補う役割をそれなりに果たしていると思うので、上っ面だけでなくもう少し身につまされる感情を描けたんじゃないか。

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