古ッ! というのがまず最初の感想。
改めて振り返って、世紀末的なディストピアは911を境に全然見なくなったなあ、と実感する。WTC崩壊のようなドラマを見せられたら、世紀末的ディストピアにリアリティなんて感じづらいのも当然で、ライトノベルに出てくる敵組織が「もう一つの正義」をいただくテロ組織にシフトしていっている……という流れは確実にあると思う。民族の対立とかがキーワードになってくるわけか。
そうやって考えてみると、この小説の「超能力で世界を牛耳ってる凄いディストピア組織」と「それに迫害されつつ間違った正義に反抗する能力者主人公」という対立軸は、やっぱり古い。古いのは一概に悪いこととは言えないんだけど、その形式の中から今の時流に対しての問題提起があるといいんだけどなあ、と思ったりもする。望み過ぎってことはないと思うんだけどなあ。
それはさておき能力者バトルモノとして見たとき、それぞれの能力が厳密に規定されていないため、「こんなこともできるよ!」という後出しじゃんけんバトルになってしまうのがなんとも。修行&成長型のストーリーではなく、三人称でキャラとキャラの組み合わせによるストーリーなのだから、ある程度手の内を見せつつバトルの行方を読者に想像させることが必要だと思う。地形などの利用の仕方も非常に残念。
キャラクターについても、読者に血肉が伝わらない印象。目の前で両親を焼き殺された、って回想で説明されただけで滂沱して感情移入するほど読者はカモじゃない。キャラクターに哲学を。好感を。感情移入を。
2009年5月26日火曜日
相剋のフェイトライン
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