「鞄」はこの作品における最も重要なアイテムであり、象徴でもあるはずだ。鞄がヒロインの性格を規定し、なおかつ主人公との関係性も描くキーアイテムとしても機能する。ヒロインがそれまでの裏切りの記憶を乗り越えて、主人公を信じるまでの課程を、いかに説得力を持ち描けるか。この作品の正否はおそらくここにかかっており、魅力があるとはいえそれだけでは武器にはならないヒロインの性格や、既視感ばかりが先につくバトルなどは二の次だろう。
現状、主人公がヒロインを裏切らないところに説得力がない。なぜ、かつての友人はヒロインを裏切ったのに、今の主人公は裏切らないのか。主人公を無保証で聖人にすれば、過去の裏切りがただの「主人公を引き立てるためのエピソード」に堕してしまう。
本来ならば主人公が鞄の魅力にとりつかれ、一度は彼女を傷つけてしまってからが勝負だ。もしかしたら作者はシリーズを通してやっていくつもりなのかもしれないけど、そりゃあちょっと暢気すぎると思う。
2009年3月31日火曜日
白山さんと黒い鞄
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